【結果発表】第4回アース・スターノベル小説大賞

総評
アース・スターノベル大賞審査員賞
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Summary

総評

おかげさまで約8,000もの作品をご応募いただき、以前のコンテストを上回るご応募数となりました。
「小説家になろう」にて作品を掲載されている書き手の皆様、そしてWEB小説全体を盛り上げてくださっている読者の皆様に感謝申し上げます。
作品全体を総覧しまして、「なろう系」としての骨組みと、どこかしらにユニークさを備える、例えば流行の展開を組み込んだり、キャラクターのよさがあったり、そのあたりのバランスのとり方が優れたものが多くありました。
惜しくも今回受賞を逃した作品の中には、どれだけ筆力が申し分なく、面白い物語でも、作品として一番推せるポイントが見えにくいため、書籍になった時のイメージが付きにくい作品がございました。
作品を書かれる際には、その作品がどのような書籍として打ち出されるのか、あらかじめ想像しておくと受賞の可能性がますます高まると思います。
ありがたいことに第5回アース・スターノベル大賞の開催が決定しており、来年1/6開催予定です。
また新たなる力作に出会えることを楽しみにしております。

夫婦で営むモンスターファーム
～目指せ、まったりスローライフ～

著者：三田白兎

編集部選評

動物が大好きなのに妻が動物アレルギーで現実世界ではペットを飼えない夫婦が、VR空間でならペットを飼える！　ということで、VRゲームを始めてテイマーになるという本作。ゲームをはじめる動機からも、妻への思いやりが感じられる素敵な作品でした。
テイムで仲間にするモンスターたちは、いかめしい外見の割に人懐っこくて可愛かったりと意外性もあり、読み進めるうちに自然と愛着が湧いてくるものばかり。
新婚夫婦ならではの描写もあったりと、夫婦設定を上手く生かしたストーリーが他の動物やゲームを題材とする作品と一線を画しています。
何より、主人公夫婦が自分たちなりのやり方でゲームをプレイしている様子が本当に楽しそうで、審査員賞『ゲームしたくてたまらない！』のお題にぴったりという結論にいたりました。

転生したら最愛の家族にもう一度出会えました
～前世のチートで美味しいごはんをつくります～

著者：あやさくら

編集部選評

生まれて間もなく攫われてしまったものの、優しいお母さんに拾われた主人公が、転生前の記憶を活かして異世界で美味しいごはんをつくっていくというハートフルなお話。
全体的に優しい雰囲気に包まれており、一緒に暮らす母親や叔父たちが主人公を大事に大事に思っていることが素敵に伝わってきます。
主人公は現代日本の農業やお料理知識を持っていますが、幼女らしく話し方や行動がたどたどしい点も、とてもキュートで好感が持てました。
また、料理や食事の描写に非常に手が込んでいる印象です。とりわけ出汁や醤油、味噌を使った和食三昧のシーンは、日本人ならお腹が鳴ること間違いなし！
それでいてストーリー全体の構成も秀逸です。時に別れや涙もありつつ、主人公の出自が周囲に明らかになっていくドラマチックな展開も、授賞の決め手となりました。

悪役姫は今日も迷宮に潜る

著者：くずもち

編集部選評

自分がゲームのラスボスであると気づいたお姫様が死亡フラグを回避すべく奮闘していく、という鉄板の悪役転生ストーリーですが、それだけにテンポの良さや軽妙な文体、登場キャラクターの個性が光る作品でした。
思い立ったら即行動、行動力の塊のような主人公ミリアリア。その性格はもちろん、「カチカクですわ！」「マジヤバですわ」といった独特のお姫様口調もキャラ付けとして印象的です。
次々と登場する他のキャラクターたちも魅力的で、巧みなセリフの応酬でミリアリアの魅力をよく引き出していると感じました。
そして爽やかかつ今後の展開を感じさせるラストは、読後感の良さを際立たせてくれます。
まさに今回の審査員賞として設定した「かわいい女の子は大正義！」のお題にふさわしい作品です！

転生少年の錬金術師道

著者：ルケア

編集部選評

錬金術師としての仕事に一生をささげ、生涯の目標を達成する主人公ヘルマンの一代記ということで、審査員賞のお題「異世界でもお仕事で大活躍」の授賞作に満場一致で選考された作品です。
主人公が異世界に転生してから天寿を全うするまでの生涯を描いた壮大なストーリーは、非常に読みごたえがありました。
コツコツと錬金術の基礎を積み重ねつつ世界観を描写する序盤、冒険や戦闘も取り入れて世界観の広がりを感じさせる少年編、そして家族も増えて生涯の目標に向かって邁進する大人編と、読者を飽きさせない構成も高評価です。
随所に異世界転生要素も活かされており、感情移入しやすく魅力的な主人公のキャラクターも大いに惹き込まれる要因でした。

化け物になろうオンライン
～暴食吸血姫の食レポ日記～

著者：蒼井茜

編集部選評

とにかく主人公フィリアが尖っていました。
外見は吸血鬼というだけでなく、アルビノ・三つ目・夢魔の翼・ドライアドの触手などなど、異形がたっぷりと詰め込まれており、
中身はグルメ一辺倒で、食べることに並々ならぬ執着を持っています。
彼女がその「化け物」としての形態をどう生かし、どう変化させて活躍するのか、非常にわくわくしながら読み進めることができました。
また食を信条として、今後どのような予想外の展開を引き起こしてくれるのか、期待感をもって物語に入り込めました。
他にも裏設定の盛り込まれた特殊NPCの登場が、まるで本当にゲームをプレイしているかのような面白みを感じさせてくれます。
VRゲームというジャンルの特性を生かしていて、審査員賞「ゲームしたくてたまらない！」に選出いたしました。

私、異世界で精霊になりました。なんだか最強っぽいけど、ふわふわ気楽に生きたいと思います

著者：かっぱん

編集部選評

自分がプレイしていたVRMMOのマイキャラ、精霊族のクウ・マイヤになり異世界に転生した主人公。
タイトルの通りふわふわしながら気楽に生きる様が、軽快な語りも相まって伝わってきます。
とりあえずイベントに付き合ったり、無自覚に魔法をぶっぱなしたり、情勢に影響を与えたり、クウと一緒に流れるように読み進められます。
冒頭に出てくる幼馴染たちを筆頭に、他のキャラクターたちも一癖あって、クウとの絡みで面白い化学反応を起こしています。
まさに審査員賞のお題である「かわいい女の子は大正義！」にばっちり噛み合う印象を持ちました。
全体を通して自由気ままでクスっと笑えるほのぼのスローライフと、先の展開を期待させるようなストーリー展開のバランスがとれており、授賞となりました。

ボクは55歳の転生皇子さま！

著者：撫羽

編集部選評

前世のバックグラウンドをものともしないリリのかわいらしさと、皇族としての良心的なふるまいの心地いい作品でした。
ラ行がうまく発音できないこともあって、彼がしゃべるたびに物語の中のキャラクターと同じように、読み手もほっこりとしてしまいますし、
自らを貶めたフォラン皇女の減刑を涙ながらに訴えるなど、リリに非常な好感を持って読み進めることができました。
他にも時折クスリと笑えるようなユーモアがちりばめられている点も素晴らしかったです。
物語の展開は、リリを中心として事件を解決するなど、緩急があってすっかり入り込んでしまえましたし、
その中でキャラクターたちがきちんと感情を発露してくれるので、胸をいっぱいにしながら読み進めることができました。
周囲の愛と信頼を一身に集めるリリにある種のカリスマ性を感じ、審査員賞「リーダーシップが発揮できる主人公、募集してます」を授与することになりました。